テストステロンエナント酸エステル(デラテストリル)

テストステロンエナント酸エステル(デラテストリル)

テストステロンエナント酸エステル(Testosterone Enanthate)は、テストステロンの長時間作用型注射剤で、筋肉増強を目的としたサイクルのベースとして最も広く使用されているステロイドの一つです。デラテストリル(Delatestryl)はその代表的なブランド名です。

概要と歴史

  • 開発年:1950年代初頭
  • エステル:エナント酸エステル(7炭素の脂肪酸鎖)
  • 特徴:テストステロンプロピオン酸やサスペンションに代わる、より持続的なテストステロン製剤として開発
  • 医療用途:男性ホルモン補充療法(HRT)、停留精巣、思春期遅延
  • 主なブランド:Delatestryl(米国)、Testoviron Depot(国際)

薬理学的特性

  • 投与方法:筋肉内注射
  • 半減期:約8日
  • 投与頻度:週1〜2回
  • エストロゲン性:中程度(テストステロンと同等のアロマターゼ率)
  • 肝毒性:なし(注射型であり、C-17αアルキル化されていない)

効果

テストステロンエナント酸エステルは、テストステロンの基本効果として以下が期待できます:

  • 筋肉量の増加:強力な同化作用
  • 筋力の向上:顕著な筋力増加
  • 回復力の向上:トレーニングからの回復を促進
  • リビドーの向上:性欲の増加
  • 骨密度の向上:長期的な骨格の強化
  • 全体的なウェルビーイング:気分、自信、活力の向上

副作用と対策

副作用リスク対策
エストロゲン性中程度水分貯留、女性化乳房のリスク。AIまたはSERMで対策
アンドロゲン性中程度油性肌、ニキビ、体毛の増加、脱毛。プロペシアで脱毛対策
肝毒性なし経口ステロイドと比較して安全
心血管系HDL低下(中程度)他の合成ステロイドよりは影響が少ない
テストステロン抑制強いPCTが必要。通常1〜4ヶ月で回復
赤血球増加ありヘマトクリット値のモニタリング。高値なら献血も検討

投与量

男性

目的用量頻度サイクル期間
HRT50〜100mg週1回継続的
初心者(筋肉増強)200〜300mg/週週1回10〜12週間
中級者300〜500mg/週週1〜2回10〜12週間
上級者500〜600mg/週週1〜2回12週間

女性

強いアンドロゲン作用のため、女性の使用は推奨されません。医学的には進行した乳がんの治療などに限定的に使用されます。

テストエナント酸と他エステルの比較

項目エナント酸シプロン酸プロピオン酸サスタノン
半減期約8日約8日約2日混合
注射頻度週1〜2回週1〜2回隔日〜毎日週1回
米国での入手容易容易やや困難困難
価格安い安い中程度高い

スタック例

増量スタック(初心者)

  • テストエナント酸:300mg/週(10〜12週間)
  • ※テストステロンのみのシンプルなサイクルから始めることを推奨

増量スタック(中級者)

  • テストエナント酸:500mg/週
  • デカデュラボリン:300mg/週
  • ダイアナボル:30mg/日(最初の4週間)

カットスタック

  • テストエナント酸:250mg/週
  • トレンボロンアセテート:50mg/日
  • ウィンストロール:50mg/日

PCT

標準的なPCTプロトコル:

  • 最終注射から2週間後にPCT開始
  • クロミッド:100mg/日(2週間)→ 50mg/日(2週間)
  • ノルバデックス:40mg/日(2週間)→ 20mg/日(2週間)

入手

テストエナント酸エステルは、世界中で最も広く製造されている注射用テストステロンです。多数のジェネリックメーカーから入手可能で、偽造品も多く出回っています。ラベルやパッケージの確認が重要です。

まとめ

テストステロンエナント酸エステルは、筋肉増強サイクルの基本となるステロイドです。テストステロンそのものであるため、他の合成ステロイドと比較して副作用のプロファイルがよく理解されています。シンプルなテストステロンのみのサイクルは初心者に最も推奨されるアプローチであり、経験者もベースとして使用します。

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