2000年代:SARMsとプロホルモンの台頭
2000年代に入ると、SARMs(選択的アンドロゲン受容体モジュレーター)とプロホルモンの使用が広まったが、同時に規制も強化された。
SARMs
代表的なSARMsとして、オスタリンダ、リガンドロール、アンダリンなどがある。筋肉増強や脂肪減少を目的として使用され、医療用途としても研究されている。ドーピング規制により多くのスポーツ競技で禁止物質としてリストされている。
プロホルモン
プロホルモンはアナボリックステロイドの前駆体として体内で活性化される化合物である。スーパー・ドロールやエピスタンなどが代表的。2004年のアナボリックステロイドコントロール法の改正により、多くのプロホルモンが規制対象となった。
2000年代初頭:ペプチドの普及
2000年代初頭には、ペプチドがスポーツやアンチエイジングの分野で注目された。ペプチドは体内で特定のホルモンの分泌を刺激する。
代表的なペプチド
- GHRHアナログ:セマレリン、テスモレリン
- GHRP:GHRP-2、GHRP-6、イプラモレリン
これらのペプチドは成長ホルモンの分泌を増加させ、筋肉の成長や脂肪減少を促進する。
2010年代以降:規制の強化
2010年代以降、PED全体の規制が強化された。AAS、SARMs、プロホルモン、ペプチドのいずれもスポーツ競技で禁止される傾向が強まり、WADAによる監視も厳格化している。
主要な摘発事例
2010年代には、複数の競技でドーピング摘発が相次いだ。
Vijay Singh(ゴルフ)
2013年、フィジー出身のプロゴルファーVijay Singhが、IGF-1(インスリン様成長因子)を含む鹿茸スプレー(deer antler spray)の使用を公表した。IGF-1はWADA禁止物質に指定されており、ゴルフはドーピング問題から遠い競技と見なされていたが、この事例により競技を問わずPED使用が広がっている実態が明らかになった。
Essendon Football Club事件(AFL)
2010年代前半、オーストラリアンフットボールリーグ(AFL)のEssendon Football Clubにおいて、チーム全体として組織的な禁止薬物使用プログラムが行われていた事件が発覚した。この事件はプロスポーツクラブにおける系統的なドーピング管理体制の存在を暴露し、スポーツ組織全体のガバナンスとアンチ・ドーピング体制の見直しを促した。