脂肪燃焼剤
脂肪燃焼剤(Fat Loss Agents)は、体脂肪を減らす目的で使用される薬剤の総称です。
大きく分けて、交感神経刺激薬(Sympathomimetics)、甲状腺ホルモン(Thyroid)、その他の脂肪燃焼剤に分類されます。
このページでは、それぞれの種類と作用機序、リスクについて整理します。
交感神経刺激薬(Sympathomimetics)
交感神経刺激薬は、アドレナリン受容体を刺激することで代謝を亢進させ、脂肪分解を促進します。
クレンブテロール(Clenbuterol)
β2アドレナリン受容体作動薬で、気管支拡張薬として医療用に開発されました。
アスリートの間では脂肪燃焼と筋肉分解抑制の目的で使用されています。
作用メカニズム:
- β2受容体を刺激して脂肪分解を促進
- 基礎代謝率の上昇
- 抗カタボリック効果(筋肉分解の抑制)
副作用:
- 手の震え
- 動悸・頻脈
- 頭痛
- 発汗
- 不眠
- 血圧上昇
用量:
- 通常20〜40mcg/日から開始
- 最大120〜160mcg/日まで増量可能
- 2週間オン/2週間オフのサイクルが一般的
- 耐性が生じやすい
フェンテルミン(Phentermine / Adipex-P)
アンフェタミン系の交感神経刺激薬で、食欲抑制作用を持ちます。
特徴:
- 1970年代から肥満治療に使用
- 短期的な使用(12週間未満)に限定
- 食欲抑制による体重減少効果
副作用:
- 不眠症
- 血圧上昇
- 神経過敏
- 依存のリスク
注意点:
- 米国ではスケジュールIV規制物質
- 依存形成の可能性がある
- 心血管系への負荷に注意
カフェイン(Caffeine)
最も広く使用されている合法の交感神経刺激薬です。
特徴:
- アデノシン受容体拮抗薬
- 脂肪分解の促進
- 集中力とパフォーマンスの向上
- エフェドリンとの併用で相乗効果
甲状腺ホルモン(Thyroid Hormones)
リオチロニン(Liothyronine / Cytomel / T3)
活性型甲状腺ホルモン(T3)の合成製剤です。
作用メカニズム:
- 基礎代謝を直接的に上昇させる
- 脂肪、タンパク質、炭水化物の代謝を促進
副作用とリスク:
- 甲状腺ホルモンのFDAブラックボックス警告:通常の甲状腺機能が正常な人への減量目的での使用は無効であり、高用量では生命を脅かす毒性を引き起こす可能性がある
- 頭痛、イライラ、発汗、不整脈
- 長期使用による心血管系への負荷
用量(アスリート用途):
- 25mcg/日から開始
- 4〜7日ごとに25mcg増量
- 最大75mcg/日まで
- サイクル期間:最長6週間
- 中止時は段階的に減量(4〜7日ごとに25mcg減量)
その他の脂肪燃焼剤
DNP(2,4-ジニトロフェノール)
ミトコンドリアの酸化的リン酸化を脱共役させることで、熱産生を大幅に増加させる強力な脂肪燃焼剤です。
リスク:
- 致死性の副作用:高体温症による死亡例が報告されている
- 治療域と致死域が近接している
- 多くの国でヒトへの使用が禁止されている
ヨヒンビン(Yohimbine)
α2アドレナリン受容体拮抗薬で、脂肪分解を促進します。
特徴:
- 脂肪細胞のα2受容体をブロック
- 特に腹部や太ももなど、落ちにくい脂肪に効果
- 空腹時に効果が高い
参考文献
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