デュタステリド

基本情報

構造

デュタステリドの構造式
分子式
C27H30F6N2O2
分子量
528.53 g/mol
分類
5αリダクターゼ阻害薬(4-アザステロイド)

性質

投与経路
経口
作用機序
5αリダクターゼ(Type IおよびII)の二重阻害
半減期
約3〜5週間(極めて長い) [1]
DHT抑制率
血中で90%以上 [1][2]

歴史

誕生

デュタステリド(Dutasteride)は、グラクソ・スミスクライン(GSK)社によって開発された第2世代の5αリダクターゼ阻害薬です。2001年に前立腺肥大症(BPH)治療薬として、後に男性型脱毛症(AGA)治療薬として承認されました。[1]

医療

フィナステリドよりも強力なDHT(ジヒドロテストステロン)抑制能を持つため、前立腺肥大症の症状改善や、フィナステリドでは十分な効果が得られなかったAGAの治療に使用されることがあります。タイプ1とタイプ2の両方の5αリダクターゼを阻害する「デュアル阻害薬」であることが特徴です。[1][2]

ボディビルにおける利用

アナボリックステロイド(AAS)のサイクル中において、テストステロンなどの製剤による脱毛や前立腺のトラブルを抑えたい場合に利用されることがあります。ただし、その強力さと極めて長い半減期ゆえに、使用には慎重な判断が求められます。[1][3]

特徴とリスク

特徴

デュタステリドの最大の特徴は、全身に存在する5αリダクターゼ酵素のタイプ1およびタイプ2の両方を強力に阻害する点にあります。

  • 二重(デュアル)阻害: フィナステリドが主にタイプ2のみを阻害するのに対し、デュタステリドは皮膚などに多いタイプ1も阻害します。これにより、血中DHT濃度を90%以上低下させます。[1][2]
  • AGAに対する効果: 臨床試験では、フィナステリドよりも発毛効果や毛髪の太さの改善において優れた成績が報告されています。[1][2]
  • 長い半減期: 半減期が約3〜5週間と非常に長く、服用を中止した後も長期間にわたって薬理作用が持続します。[1]

リスク

性機能への影響

リビドー(性欲)の低下、勃起不全、射精障害のリスクが報告されています。DHTをより強力に抑制するため、これらの頻度がフィナステリドよりもわずかに高い可能性が指摘されています。[1][3]

長期残存性

半減期が非常に長いため、服用を中止しても血中から完全に消失するまでに数ヶ月以上かかることがあります。この期間中は献血が禁止(胎児への影響を避けるため)されるなどの制約があります。[1]

メンタル面への影響

DHTは脳内で神経ステロイドの合成に関与しているため、その抑制は気分の変化や不安感を招く可能性が理論的に議論されています。[3]

競技規制上の扱い

WADA禁止表では、デュタステリドを含む5αリダクターゼ阻害薬は、現在は禁止物質から除外されています。現在は競技会時・競技会外ともに使用可能です。[4]

出典

  1. DailyMed: AVODART - dutasteride capsule (FDA Label) (DailyMed / NLM / Overview)
  2. Clark RV, et al. Marked suppression of dihydrotestosterone in men with benign prostatic hyperplasia by dutasteride, a dual 5alpha-reductase inhibitor. J Clin Endocrinol Metab. 2004;89(5):2179-2184. (PubMed / NLM / Overview)
  3. Traish AM, et al. The impact of 5alpha-reductase inhibitors on male sexual function and psychological well-being. Curr Opin Urol. 2017;27(6):534-540. (DOI / Overview)
  4. World Anti-Doping Agency: 2026 Prohibited List (World Anti-Doping Agency / Overview)
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