フィナステリド

基本情報

構造

フィナステリドの構造式
分子式
C23H36N2O2
分子量
372.54 g/mol
分類
5αリダクターゼ阻害薬(4-アザステロイド)

性質

投与経路
経口
作用機序
5αリダクターゼ(Type II)の選択的阻害
半減期
約5〜6時間 [1][2]
DHT抑制率
血中で約70%、前立腺内で約85〜90% [1][2]

歴史

誕生

フィナステリド(Finasteride)は、1980年代にメルク社によって開発された最初の5αリダクターゼ阻害薬です。1992年に前立腺肥大症(BPH)の治療薬として、1997年に男性型脱毛症(AGA)の治療薬として、それぞれ承認を受けました。[1][2]

医療

主に、肥大した前立腺の縮小や、AGAによる抜け毛の進行抑制・改善に使用されます。テストステロンから、より強力なアンドロゲンであるジヒドロテストステロン(DHT)への変換を妨げることで効果を発揮します。[1][3]

ボディビルにおける利用

アナボリックステロイド(AAS)の使用、特にテストステロン製剤を使用する際、DHTへの変換に伴う男性型脱毛の進行や前立腺のトラブル、ニキビなどの副作用を軽減するために併用されることがあります。ただし、特定のステロイド(例:ナンドロロン)と併用すると、副作用を悪化させる可能性がある点に注意が必要です。[1][2]

特徴とリスク

特徴

フィナステリドの最大の特徴は、5αリダクターゼ酵素の「タイプ2」を選択的に阻害し、体内のDHT濃度を低下させる点にあります。

  • タイプ2 選択性: 主に前立腺や毛包に多く存在するタイプ2の酵素をターゲットにします。血中のDHTレベルを約70%程度低下させることが示されています。[1][2]
  • テストステロン値への影響: DHTへの変換がブロックされるため、血中のテストステロン濃度がわずかに上昇することが報告されています。[1]

リスク

性機能への影響

リビドー(性欲)の低下、勃起不全(ED)、射精障害などが報告されています。これらの副作用の多くは服用中止により改善しますが、一部で持続するケースについての議論(PFS)も存在します。[1][4]

女性化乳房

DHT(抗エストロゲン的な役割も果たす)が減少することで、相対的にエストロゲンの影響が強まり、乳房の圧痛や女性化乳房が起こることがあります。[1]

メンタル面への影響

抑うつ状態や不安感などの精神的な副作用が報告されることがあります。[4]

PSA値の低下

前立腺がんのマーカーであるPSA値を低下させるため、検査の際には服用の申告が必要です。[1]

競技規制上の扱い

フィナステリドを含む5αリダクターゼ阻害薬は、かつては禁止されていましたが、現在は禁止物質から除外されています。現在は競技会時・競技会外ともに使用可能です。[5]

出典

  1. DailyMed: Finasteride tablet (DailyMed / NLM / Overview)
  2. McClellan KJ, et al. Finasteride: a review of its use in male pattern hair loss. Drugs. 1999;57(1):111-126. (PubMed / NLM / Overview)
  3. Kaufman KD, et al. Finasteride in the treatment of men with androgenetic alopecia. Finasteride Male Pattern Hair Loss Study Group. J Am Acad Dermatol. 1998;39(4 Pt 1):578-589. (PubMed / NLM / Overview)
  4. Traish AM. Post-finasteride syndrome: a surmountable challenge for clinicians. Fertil Steril. 2020;113(1):21-50. (DOI / Overview)
  5. World Anti-Doping Agency: 2026 Prohibited List (World Anti-Doping Agency / Overview)
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