プロビロン(メステロロン)
プロビロン(Proviron)は、メステロロン(Mesterolone)のブランド名で、ジヒドロテストステロン(DHT)誘導体の経口アンドロゲンです。他のステロイドとは異なり、弱い同化作用しか持ちませんが、強力なアンドロゲン作用と抗エストロゲン作用が特徴です。SHBG(性ホルモン結合グロブリン)に結合する能力を持ち、他のステロイドの遊離テストステロン量を増加させる効果があります。
概要と歴史
- 開発元:Schering社
- 発売年:1934年(男性ホルモン治療薬として最初期のものの一つ)
- 構造的特徴:DHTの1α-メチル誘導体。経口摂取を可能にするためのC-17αアルキル化を必要としない
- 医療用途:加齢に伴うテストステロン低下、性欲減退、男性不妊症、性腺機能低下症
- 米国での承認:なし(国際市場では広く入手可能)
薬理学的特性
- 投与方法:経口(錠剤)
- 半減期:約8時間
- エストロゲン性:なし(抗エストロゲン作用を持つ)
- 肝毒性:なし(C-17αアルキル化されていない)
- SHBG結合:強力に結合し、遊離テストステロンを増加させる
効果
プロビロンは、以下の効果が期待できます:
- 筋硬度の向上:水分貯留がないため、硬く密度の高い筋肉に
- 抗エストロゲン作用:アロマターゼ阻害作用による女性化乳房の予防
- 他ステロイドの増強:SHBGに結合することで、他のステロイドの遊離分画を増加
- リビドーの向上:強力な性欲増進効果
- 精子産生の維持:テストステロン抑制下でも精子産生を部分的に維持
副作用と対策
| 副作用 | リスク | 対策 |
|---|---|---|
| エストロゲン性 | なし(抗エストロゲン作用) | むしろ女性化乳房の予防に役立つ |
| アンドロゲン性 | 中〜高 | 特に高用量でニキビ、油性肌、体毛の増加 |
| 肝毒性 | なし | 経口剤としては例外的に安全 |
| 心血管系 | HDL低下 | 特に高用量(300mg/日以上)で影響が出る |
| テストステロン抑制 | 弱い(〜150mg/日) | 高用量(300mg/日以上)では抑制が有意になる |
投与量
男性
| 目的 | 用量 | サイクル期間 |
|---|---|---|
| カット/コンテスト準備 | 50〜100mg/日 | 8〜12週間 |
| 抗エストロゲン目的 | 25〜50mg/日 | サイクル中継続 |
| SHBG結合(他剤増強) | 50〜150mg/日 | サイクル中継続 |
| 高用量 | 150mg/日以上 | テストステロン抑制に注意 |
女性
強いアンドロゲン作用のため、女性の使用は推奨されません。やむを得ず使用する場合でも25mg/日、4〜5週間以内に限定すべきです。
使用タイミング
プロビロンは以下のようなタイミングで使用されます:
- サイクル中:他のステロイドの効果を増強し、エストロゲン副作用を抑制
- PCT中:テストステロン産生を刺激し、リビドーを維持
- コンテスト前:筋硬度を高め、血管浮き出しを促進
- HRTの補完:遊離テストステロンを増加させる
スタック例
カットスタック
- テストステロンプロピオン酸:100mg/隔日
- トレンボロンアセテート:50mg/日
- プロビロン:50mg/日
増量スタック
- テストステロンエナント酸:500mg/週
- デカデュラボリン:300mg/週
- プロビロン:50mg/日(エストロゲン対策として)
入手
プロビロンは主にBayer社(旧Schering社)が製造しています。他のステロイドと比較して需要が限定的であるため、偽造品は比較的少ないとされています。
まとめ
プロビロンは、同化作用よりも抗エストロゲン作用とSHBG結合能を目的として使用されるユニークなステロイドです。単独では筋肥大効果は限定的ですが、他のステロイドとの併用によりそのポテンシャルを最大限に引き出す補助的な役割を果たします。肝毒性がなく、適切な用量ではテストステロン抑制も弱いため、比較的安全に使用できるステロイドの一つと言えます。
関連ページ
- 用語集 — PED関連の略語・用語の解説
- ジヒドロテストステロン(DHT) — DHT誘導体の概要
- 筋成長の内分泌学 — SHBGと遊離テストステロンの関係
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