ジヒドロテストステロン(DHT / アンドラクチム)
ジヒドロテストステロン(Dihydrotestosterone, DHT)は、テストステロンから5α-リダクターゼ酵素によって変換される強力なアンドロゲンホルモンです。外用剤としてアンドラクチム(Andractim)のブランド名で販売されており、局所的なアンドロゲン作用を目的として使用されます。
概要
- 構造的特徴:テストステロンの5α位が還元された形。アロマターゼによるエストロゲン変換を受けない
- アンドロゲン作用:テストステロンの約3〜5倍の強さ
- 同化作用:テストステロンより弱い(アンドロゲン優位)
- エストロゲン性:なし(アロマターゼで変換されない)
- 剤形:外用ジェル(アンドラクチムは2.5% DHTジェル)
DHTの生理学的重要性
DHTは体内で以下の重要な役割を果たしています:
- 男性生殖器の発達:胎児期の男性化に不可欠
- 二次性徴:思春期の男性化(体毛、声変わりなど)
- 前立腺の成長と機能:前立腺の正常な発達に必要
- 毛髪の成長:体毛の成長を促進する一方、頭頂部の脱毛(男性型脱毛症)の原因にもなる
アンドラクチム(Andractim)
アンドラクチムは、DHTを有効成分とする外用ジェル製剤です。医療用途では以下の目的で使用されます:
- 男性の性腺機能低下症:局所的なアンドロゲン補充
- 女性化乳房の治療:抗エストロゲン作用による乳腺組織の縮小
- 停留精巣:小児の治療
- マイクロペニス:新生児・幼児の治療
アスリートによる使用
DHT外用ジェルは、以下の目的で使用されることがあります:
- 局所的な筋肉硬化:塗布部位の筋硬度を高める(ただし科学的根拠は限定的)
- 抗エストロゲン作用:全身的なエストロゲン抑制
- リビドーの向上:強力なアンドロゲン作用による性欲増進
副作用と対策
| 副作用 | リスク | 対策 |
|---|---|---|
| エストロゲン性 | なし | 抗エストロゲン作用を持つ |
| アンドロゲン性 | 非常に高い | 油性肌、ニキビ、体毛の増加、加速的な脱毛 |
| 肝毒性 | なし | 外用剤であり肝臓を通過しない |
| 心血管系 | HDL低下の可能性 | 経口剤よりは影響が少ない |
| DHT変換阻害 | なし | すでにDHTそのものであるため、5αリダクターゼ阻害剤の影響を受けない |
| 前立腺 | PSA上昇の可能性 | 定期的な前立腺検査が推奨される |
まとめ
DHTは、体内で最も強力なアンドロゲンホルモンの一つであり、その外用剤であるアンドラクチムは局所的なアンドロゲン補充や女性化乳房治療に使用されます。エストロゲン性がなく、肝毒性もないという利点がありますが、強力なアンドロゲン作用による副作用(特に脱毛)には注意が必要です。全身的な筋肉増強効果は限定的であり、主に補助的な使用が適しています。
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参考文献
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