ノルエタンドロロン

基本情報

構造

ノルエタンドロロンの構造式
分子式
C20H30O2
分子量
302.45 g/mol [1]
主な構造修飾
19-ノル、17α-エチル

性質

系統
ナンドロロン (19-nor)
投与経路
経口
17αアルキル化
あり [2]
AAR
100–200 : 20–40 [2]
半減期
約8〜12時間 [2]
有効期間
約8〜12時間
エストロゲン性
低〜中 [2]
アロマターゼ活性
[2]
プロゲスチン性
あり [2]

歴史

誕生

ノルエタンドロロン(Norethandrolone)は、1953年にG.D. Searle & Co.(現在のファイザー社)によって開発された19-ノル系のアナボリックステロイド(AAS)です。「ナイルバー(Nilevar)」の商品名で発売され、世界で最初に商業化されたアナボリックステロイドの一つとして歴史的に重要です。[2][3]

医療

手術後の回復促進、重度の外傷や慢性疾患に伴うタンパク異化の抑制、および特定の貧血の治療を目的として承認されました。1950年代から60年代にかけて広く使用されましたが、より副作用の少ない(あるいはより強力な)後発の薬剤(オキサンドロロン等)が登場したことにより、徐々に使用されなくなりました。[3][4]

ボディビル

初期のステロイド使用の歴史において、ナンドロロンの経口版のような位置付けで利用されてきました。現在では、メジャーな供給ルートからは姿を消しており、ヴィンテージ・ステロイドとしての側面が強いです。[2]

特徴とリスク

特徴

ノルエタンドロロンは、ナンドロロン(19-ノルテストステロン)の17位にエチル基を追加し、経口活性を持たせた構造を持ちます。

  • 最初の同化活性特化型ステロイド: テストステロンのアンドロゲン作用を抑えつつ、同化作用を維持することを目指して設計された初期の成功例です。[2][3]
  • 経口活性: 17α位のエチル化により、肝臓での初回通過効果を免れます。[2]
  • 穏やかなアンドロゲン作用: ナンドロロン由来であるため、アンドロゲン的な副作用はテストステロンよりも抑えられています。[2]

リスク

肝毒性

17αアルキル化(17aa)されているため、肝臓への負担があります。長期間の使用は肝機能障害や黄疸を引き起こすリスクがあります。[2][5]

エストロゲンおよびプロゲスチン副作用

アロマターゼによるエストロゲン変換は低いですが、19-ノル系特有のプロゲスチン作用を持ちます。これにより、水分貯留や女性化乳房、自己産生の抑制が引き起こされる可能性があります。[2]

血中脂質への影響

他の経口ステロイドと同様に、HDLコレステロールの低下やLDLコレステロールの上昇を招くリスクがあります。[2]

競技規制上の扱い

WADA禁止表では、ノルエタンドロロンはS1のアナボリック薬に該当し、競技会時・競技会外ともに禁止されています。[6]

出典

  1. PubChem: Norethandrolone. (PubChem / NCBI / Overview)
  2. Kicman AT. Pharmacology of anabolic steroids (British Journal of Pharmacology / 2008 / Overview)
  3. Shahidi NT. A review of the chemistry, biological action, and clinical applications of anabolic-androgenic steroids. Clin Ther. 2001;23(9):1355-1390. (PubMed / NLM / Overview)
  4. IUPHAR/BPS Guide to Pharmacology: Androgen receptor ligands (includes ethylestrenol). (guidetopharmacology.org / Overview)
  5. LiverTox: Androgenic Steroids (NCBI Bookshelf / Overview)
  6. World Anti-Doping Agency: 2026 Prohibited List (World Anti-Doping Agency / Overview)
作成: