メボラジン

基本情報

構造

メボラジンの構造式
分子式
C42H68N2O2
分子量
633.00 g/mol
主な構造修飾
アジン結合で結合した2つのメチルドロスタノロン(スーパードロール)

性質

系統
DHT
投与経路
経口
17αアルキル化
あり [1]
AAR
210 : 95 [2]
半減期
約10〜16時間
エストロゲン性
なし [2]
アロマターゼ活性
なし [2]
プロゲスチン性
なし

歴史

誕生

メボラジン(Mebolazine / Dymethazine / DMZ)は、1962年に初めて報告された経口アナボリックステロイド(AAS)です。長らく医療現場での関心は低かったものの、2000年代後半に「デザイナー・ステロイド(サプリメント)」として市場に登場し、ボディビル界で広く知られるようになりました。[1][2]

医療

医療目的での使用例は極めて少なく、主に競技パフォーマンス向上や体格変化の目的で、闇市場やサプリメントを介して流通してきました。[1]

ボディビル

DMZは、その特異な化学構造と、体内での代謝産物が極めて強力な「スーパードロール(メチルドロスタノロン)」であることから、強力な筋量増加剤として評価されています。水分貯留を伴わない「ドライ」な質感を維持しつつ、サイズを増大させるために使用されます。[1][2]

特徴とリスク

特徴

メボラジンの最大の特徴は、2つのスーパードロール分子が窒素原子のペア(アジン結合)を介して結合している点にあります。

  • スーパードロールのプロドラッグ: 体内でアジン結合が切断されると、2つのスーパードロール(メチルドロスタノロン)分子に分解され、アンドロゲン受容体に結合します。このため、スーパードロールと極めて似通った効果を発揮します。[1][2]
  • ドライな増量: DHT由来であるためエストロゲンへの変換がなく、水分貯留を伴わない筋肥大が期待できます。筋密度の向上、血管の視認性(ヴァスキュラリティ)、カットの強調に寄与します。[2]
  • 高い同化作用: 少ない投与量(20〜40mg/day程度)でも、顕著な筋量と筋力の向上をもたらすと報告されています。[1]

リスク

強力な肝毒性

17αアルキル化(17aa)製剤であることに加え、その代謝産物が肝臓に非常に過酷なスーパードロールであるため、肝毒性は極めて高くなります。黄疸や胆汁うっ滞の重篤な症例が報告されています。[1][3]

アンドロゲン性副作用

DHT由来のため、男性型脱毛(MPB)の進行、ニキビ、脂性肌といった副作用のリスクが高くなります。[2]

関節への負担

水分貯留を抑える「ドライ」なステロイド全般の傾向として、関節の潤滑が失われ、トレーニング中の関節痛を引き起こすことがあります。

心血管系への影響

他の多くの経口ステロイドと同様に、脂質プロファイル(コレステロール値)の悪化を招くリスクがあります。[1]

競技規制上の扱い

WADA禁止表では、メボラジンはS1のアナボリック薬に該当し、競技会時・競技会外ともに禁止されています。[4]

出典

  1. Agbenyefia P, et al. Cholestatic jaundice with the use of methylstenbolone and dymethazine, designer steroids found in protective dietary supplements. ACG Case Rep J. 2014;1(4):220-222. (DOI / Overview)
  2. Kicman AT. Pharmacology of anabolic steroids (British Journal of Pharmacology / 2008 / Overview)
  3. LiverTox: Androgenic Steroids (NCBI Bookshelf / Overview)
  4. World Anti-Doping Agency: 2026 Prohibited List (World Anti-Doping Agency / Overview)
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