フラザボル

基本情報

構造

フラザボルの構造式
分子式
C20H30N2O2
分子量
330.5 g/mol
主な構造修飾
A環2,3-c furazan環、17αメチル化

性質

系統
DHT
投与経路
経口
17αアルキル化
あり
半減期
尿中未変化体 1.29〜1.87時間(2例) [1]
エストロゲン性
アロマターゼ活性
なし
プロゲスチン性

歴史

誕生

フラザボル(Furazabol)は、17α-methyl-5α-androstano[2,3-c]furazan-17β-olとして登録される、17αメチル化DHT系AASです。[2]
米国外で販売された可能性がある薬剤として登録され、由来情報には Japan:Furazabol、ブランド名には MIOTOLAN が挙げられています。[3]

医療

1969年の国内医学文献には、高脂血症に対するFurazabolの治療効果を扱った報告があります。[4]
1973年の動物実験では、正常ラットとコレステロール負荷ヒナで血清コレステロール低下作用が報告されています。[5]

ボディビル

Miotolan名で残った経口AASで、ボディビル文脈ではDHT系、17αアルキル化、アロマターゼ活性のなさが主な性質として参照されます。[2][3]
1990年の尿中代謝物研究では、16-hydroxyfurazabolをGC/MSで監視でき、AASドーピング検査手順に組み込めると報告されています。[5]

製品名

  • ミオトラン(MIOTOLAN)
  • フラザロン(Frazalon)
  • Qu Zhi Shu

特徴とリスク

特徴

フラザボルの構造上の特徴は、5α-androstane骨格に17αメチル基とA環2,3-cのfurazan環を持つ点です。[2]
経口投与後の尿中排泄研究では、未変化体と16-hydroxyfurazabolが主要ピークとして検出され、最大排泄速度は2〜3時間後に達しています。[1]

脂質低下作用は、1969年の国内臨床文献と1973年の動物実験に記録されています。[4][5]
この性質は、筋量目的のAASというより、過去の医療文脈でMiotolanの名前が残る理由の一つです。

リスク

エストロゲン性

フラザボルは5α-androstane系で、アロマターゼ基質としてエストラジオールへ変換される前提の薬剤ではありません。[2][6]

アンドロゲン性

アンドロゲンはアンドロゲン受容体を介して作用し、高いアンドロゲン曝露では脂漏、ニキビ、体毛増加、脱毛などが問題になります。[6]
DHT系のため、5αリダクターゼでDHTへ変換される前提の副作用対策には当てはまりません。[2][6]

肝臓

フラザボルは17αアルキル化された経口AASです。[2]
17αアルキル化アンドロゲンは肝毒性と関連し、長期のアンドロゲン補充には不適切とされています。[6]
C-17αアルキル化AASでは、胆汁うっ滞、peliosis hepatis、肝腺腫、肝細胞癌などが問題になります。[7]

その他

外因性アンドロゲンの長期使用後は、視床下部-下垂体-精巣軸の回復が遅れ、内因性アンドロゲン低下を伴う離脱状態が続く場合があります。[6]

競技規制上の扱い

WADA禁止表では、フラザボルはS1のアナボリック薬に該当します。
S1は、競技会時・競技会外ともに禁止されるカテゴリです。[8]

出典

  1. Kim T, Suh JW, Ryu JC, Chung BC, Park J. Excretion study of furazabol, an anabolic steroid, in human urine. J Chromatogr B Biomed Appl. 1996;687(1):79-83. (PubMed / NLM / Overview)
  2. PubChem: Furazabol (PubChem / NCBI / Overview)
  3. NCATS Inxight Drugs: FURAZABOL (drugs.ncats.io / Overview)
  4. 高脂血症に対するFurazabolの効果―特に血漿フイブリノーゲン値と関連して― (cir.nii.ac.jp / Overview)
  5. Gradeen CY, Chan SC, Przybylski PS. Urinary excretion of furazabol metabolite. Journal of Analytical Toxicology. 1990;14(2):120-122. (PubMed / NLM / Overview)
  6. Endotext: Androgen Physiology, Pharmacology, Use and Misuse (Endotext / NCBI Bookshelf / Overview)
  7. LiverTox: Androgenic Steroids (NCBI Bookshelf / Overview)
  8. World Anti-Doping Agency: 2026 Prohibited List (World Anti-Doping Agency / Overview)
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