テストステロンイソ酪酸エステル

基本情報

構造

テストステロンイソ酪酸エステルの構造式
分子式
C23H34O3
分子量
358.5 g/mol
エステル
イソ酪酸エステル
主な構造修飾
テストステロン17β位のイソ酪酸エステル化

性質

系統
テストステロン
投与経路
注射(筋肉内)
17αアルキル化
なし
エストロゲン性
アロマターゼ活性
プロゲスチン性

歴史

誕生

テストステロンイソ酪酸エステル(Testosterone isobutyrate)は、テストステロンの17β水酸基をイソ酪酸エステル化した注射用テストステロンエステルです。[1]
Agovirin Depotは、1969年12月30日にスロバキアで販売承認が発行された製剤で、現在の登録情報ではBB Pharma a.s.が承認保有者です。[2]

医療

Agovirin Depotは、テストステロンイソ酪酸エステル25 mg/mLを含む筋肉内注射用の水性微結晶懸濁液として登録されています。[2][3]
臨床上の適応は、精巣性アンドロゲンの完全欠乏または産生低下、重度の閉経後骨粗しょう症、再生不良性貧血です。[3]

ボディビル

Agovirin Depotは、油性溶液ではなく水性微結晶懸濁液のテストステロン系注射AASです。
テストステロンエステルは、局所デポから放出された後に加水分解され、遊離テストステロンとして作用します。[4]
短いエステル名よりもAgovirin Depotという製品名で知られ、テストステロン由来のアンドロゲン作用、同化作用、エストロゲン変換を持つ注射AASです。[4]

製品名

  • アゴビリンデポ(Agovirin Depot)
  • テストクリスト(Testocryst)

特徴とリスク

特徴

テストステロンイソ酪酸エステルは、エステル化によって筋肉内注射後の放出を遅らせるプロドラッグです。
テストステロンエステルは、エステル鎖の疎水性などに応じて局所デポから放出され、非特異的エステラーゼで加水分解されてテストステロンを放出します。[4]

リスク

心疾患

副作用として、コレステロール値の上昇、窒素、ナトリウム、カリウム、塩化物の保持が記載されています。[3]
テストステロン製剤では赤血球増加が生じることがあり、特に短時間作用型の注射製剤では血中テストステロンのピークと関連します。[4]

エストロゲン性

テストステロンはアロマターゼでエストラジオールへ変換されます。[4]
Agovirin Depotでは、女性化乳房や水分・電解質保持が副作用に含まれます。[3]

アンドロゲン性

テストステロンは5αリダクターゼによりDHTへ変換され、皮膚や男性泌尿生殖器系などの組織でアンドロゲン作用が増幅されます。[4]
Agovirin Depotの副作用には、ニキビ、精子形成抑制、精巣変性があります。[3]

肝臓

Agovirin Depotでは、肝機能障害と肝がんの発生が副作用に含まれます。[3]
17αアルキル化はありませんが、テストステロンは肝毒性のある薬剤との併用で肝障害リスクを高める場合があります。[3]

その他

過剰なテストステロンまたはテストステロンエステルは、ゴナドトロピン分泌を抑制し、精子形成抑制と精巣萎縮を誘導します。[3]

競技規制上の扱い

WADA禁止表では、テストステロンイソ酪酸エステルはS1のアナボリック薬に該当します。
S1は、競技会時・競技会外ともに禁止されるカテゴリです。[5]

出典

  1. PubChem: Testosterone, isobutyrate (PubChem / NCBI / Overview)
  2. ŠÚKL: AGOVIRIN DEPOT product detail (sukl.sk / Overview)
  3. Farmaceutika: Agovirin Depot product information and SPC (farmaceutika.info / Overview)
  4. Endotext: Androgen Physiology, Pharmacology, Use and Misuse (Endotext / NCBI Bookshelf / Overview)
  5. World Anti-Doping Agency: 2026 Prohibited List (World Anti-Doping Agency / Overview)
更新: / 作成: