メタンドロステノロン

基本情報

構造

メタンドロステノロンの構造式
分子式
C20H28O2
分子量
300.44 g/mol [1]
主な構造修飾
17α-メチル、C1-2二重結合テストステロン

性質

系統
テストステロン
投与経路
経口
17αアルキル化
あり [2]
AAR
90–210 : 40–60 [2]
半減期
約3〜6時間 [2]
有効期間
約6〜8時間
エストロゲン性
高(17α-メチルエストラジオール) [2]
アロマターゼ活性
あり [2]
プロゲスチン性
なし

歴史

誕生

メタンドロステノロン(Methandrostenolone / Methandienone)は、1955年にチバ社のジョン・ジーグラー博士らのチームによって開発されました。「ダイアナボル(Dianabol)」の商品名で知られ、米国で最初に発売された経口アナボリックステロイド(AAS)です。[2]

医療

かつては、術後や慢性疾患に伴うタンパク異化の抑制、骨粗鬆症、下垂体性小人症などの治療に広く用いられていました。しかし、その強力な効果の一方で副作用も無視できず、1980年代初頭にはFDAにより米国での製造および販売が中止されました。[2]

ボディビル

1950年代後半から1970年代にかけての「ステロイド黄金時代」において、ボディビル競技者やウェイトリフターの間で爆発的に普及しました。現在でも、オフシーズンの「キックスタート(サイクルの立ち上がり)」に用いられる最も代表的な経口ステロイドの一つです。[2][3]

特徴とリスク

特徴

メタンドロステノロンは、テストステロンの1位と2位の間に二重結合を追加し、17位にメチル基を追加した誘導体です。

  • 強力なタンパク同化と窒素保持: テストステロンを上回る強力な窒素保持能力を持ち、短期間での筋量および筋力の劇的な向上を可能にします。[2][3]
  • 経口活性: 17αアルキル化(17aa)されているため、経口摂取しても肝臓での分解を免れます。[2]
  • コルチゾール抑制: 筋分解を促すストレスホルモンであるコルチゾールの作用を強力に抑制し、アナボリックな状態を維持します。[2]

リスク

強力なエストロゲン副作用

アロマターゼによって変換される代謝物(17α-メチルエストラジオール)は、通常のエストラジオールよりも活性が強いため、深刻な水分貯留、女性化乳房、血圧上昇を引き起こしやすいという特徴があります。[2]

肝毒性

17aa製剤であり、肝臓への負担があります。長期間または高用量の使用は肝機能障害や肝細胞腺腫などのリスクを高めるため、通常は4〜6週間程度の短期間の使用に制限されます。[2][4]

アンドロゲン副作用

テストステロン由来ですが、DHTへの変換効率は低くなっています。しかし、ニキビや男性型脱毛などのアンドロゲン性副作用が発生する可能性は十分にあります。[2]

自己産生の抑制

非常に低い用量(例えば1日10mg)であっても、内因性テストステロンの産生を強力に抑制します。[2][3]

競技規制上の扱い

WADA禁止表では、メタンドロステノロンはS1のアナボリック薬に該当し、競技会時・競技会外ともに禁止されています。[5]

出典

  1. PubChem: Methandrostenolone (PubChem / NCBI / Overview)
  2. Kicman AT. Pharmacology of anabolic steroids (British Journal of Pharmacology / 2008 / Overview)
  3. Hervey GR, et al. Effects of methandienone on performance and body composition of men undergoing athletic training. Br J Sports Med. 1981;15(3):146-151. (PubMed / NLM / Overview)
  4. LiverTox: Androgenic Steroids (NCBI Bookshelf / Overview)
  5. World Anti-Doping Agency: 2026 Prohibited List (World Anti-Doping Agency / Overview)
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