基本情報
構造
- 分子式
- C20H30O2
- 分子量
- 302.5 g/mol
- エステル
- 酢酸、エナント酸
- 主な構造修飾
- 1-メチルDHT
性質
- 系統
- DHT
- 投与経路
- 経口(酢酸エステル)、注射(エナント酸エステル)
- 17αアルキル化
- なし
- エストロゲン性
- 無
- アロマターゼ活性
- なし
- プロゲスチン性
- 無
歴史
誕生
メテノロン(Methenolone, Metenolone)は、1-メチル-5α-androst-1-en-17β-ol-3-oneとして記録されるDHT系AASです。[1]
酢酸エステルはPrimobolan、エナント酸エステルはPrimobolan Depot名でも記録されています。[2][3]
医療
1965年の臨床報告では、methenolone enanthateとmethenolone acetateのanabolic effectsが評価されています。[4]
1993年の症例報告では、重症再生不良性貧血にmetenolone acetateが投与された経過が記録されています。[5]
ボディビル
Primobolan名は、経口の酢酸エステルと注射のエナント酸エステルを持つDHT系AASとしてボディビル文脈にも残りました。[2][3]
17αアルキル化経口AASではないことと、アロマターゼでエストロゲンへ変換されるテストステロン系AASではないことが、他の経口AASとの違いでした。[6]
製品名
- プリモボラン(Primobolan)
- プリモボランデポー(Primobolan Depot)
- プリモノロン
- ニバル(Nibal)
特徴とリスク
特徴
メテノロンは、17β位のヒドロキシ基を持つ1-メチルDHT系AASです。[1]
酢酸エステルでは分子式がC22H32O3、エナント酸エステルではC27H42O3になり、同じメテノロン骨格に異なるエステルが結合します。[2][3]
経口剤として使われた酢酸エステルは17αアルキル化AASではなく、メテノロンとメステロロンは1-methyl androgensとして整理される非17αアルキル化アンドロゲンです。[6]
1965年の臨床報告では、酢酸エステルとエナント酸エステルの両方がanabolic effectsの評価対象になりました。[4]
リスク
心疾患
AAS使用では、HDL低下などの脂質変化、血圧上昇、心血管系リスクが記載されています。[6][7]
エストロゲン性
メテノロンはDHT系AASで、アロマターゼでエストロゲンへ変換される薬剤ではありません。[6]
エストロゲン化しにくい性質は、外因性AASによる内分泌抑制や脂質変化がないことを意味しません。[6][7]
アンドロゲン性
DHT系AASのため、ニキビや男性型脱毛の進行などのアンドロゲン性リスクが中心になります。[6][7]
メテノロンはDHT由来のAASであり、5αリダクターゼ阻害でDHTへの変換を抑える対象ではありません。[6]
肝臓
メテノロンは17αアルキル化AASではなく、治療環境での非17αアルキル化アンドロゲンの肝障害頻度は17αアルキル化AASとは別枠で整理されています。[6]
一方で、androgenic steroids全般では胆汁うっ滞、肝腫瘍、peliosis hepatisが記載され、metenolone acetate開始後に肝不全へ進んだ症例報告もあります。[8][5]
その他
外因性AASは内因性テストステロン産生を抑制し、精巣萎縮や精子形成抑制と関係します。[7]
競技規制上の扱い
WADA禁止表では、メテノロンはS1のアナボリック薬に該当します。
S1は、競技会時・競技会外ともに禁止されるカテゴリです。[9]
出典
- PubChem: Methenolone (PubChem / NCBI / Overview) ↩
- PubChem: Methenolone acetate (PubChem / NCBI / Overview) ↩
- PubChem: Methenolone enanthate (PubChem / NCBI / Overview) ↩
- Litchfield HR. Anabolic effects of methenolone enanthate and methenolone acetate in underweight premature infants and children. New York State Journal of Medicine. 1965;65:645-648. (PubMed / NLM / Overview) ↩
- Tsukamoto N, et al. Fatal outcome of a patient with severe aplastic anemia after treatment with metenolone acetate. Annals of Hematology. 1993;67(1):41-43. (PubMed / NLM / Overview) ↩
- Endotext: Androgen Physiology, Pharmacology, Use and Misuse (Endotext / NCBI Bookshelf / Overview) ↩
- Kicman AT. Pharmacology of anabolic steroids (British Journal of Pharmacology / 2008 / Overview) ↩
- LiverTox: Androgenic Steroids (NCBI Bookshelf / Overview) ↩
- World Anti-Doping Agency: 2026 Prohibited List (World Anti-Doping Agency / Overview) ↩