5α還元と局所代謝

5α還元は、ステロイドのA環を還元する局所代謝反応です。主な酵素は5αリダクターゼで、テストステロンはDHTへ、ナンドロロンはジヒドロナンドロロン(DHN)へ変換されます。[1][2]

テストステロンからDHTへの変換

テストステロンは、5αリダクターゼによりDHTへ変換されます。DHTはテストステロンよりアンドロゲン受容体への結合親和性が高く、皮膚、毛包、前立腺、外性器などの組織で重要です。[1][2]

基質酵素生成物
テストステロン5αリダクターゼDHT

ナンドロロンからDHNへの変換

ナンドロロンは、5αリダクターゼによりDHNへ変換されます。DHNはDHTよりアンドロゲン受容体への作用が弱いとされ、ナンドロロン系AASの組織反応を考える上で重要です。[2][3]

基質酵素生成物
ナンドロロン5αリダクターゼDHN

DHT系AAS

DHT系AASは、DHTまたは5α還元型アンドロゲンに近い構造を持ちます。すでに5α還元型に近い構造を持つため、テストステロンからDHTが生じる場合とは代謝前提が異なります。[2][3]

DHT系AASの多くは芳香化されません。ただし、DHT系という分類は、肝胆道系、脂質、HPTA抑制、皮膚・毛髪、前立腺への影響を消すものではありません。[3][4]

3α-HSD

3α-ヒドロキシステロイド脱水素酵素(3α-HSD)は、DHTや一部のDHT系化合物の代謝に関与します。DHTは3α-HSDにより3α-androstanediolなどへ変換されます。[2][5]

骨格筋では、一部のDHT系化合物が3α-HSDにより不活化されやすいことが、DHTそのものの筋同化作用が限定的に扱われる理由の一つとして説明されます。[3]

組織差

5αリダクターゼの発現は組織によって異なります。皮膚、毛包、前立腺などではDHT生成が重要です。一方、骨格筋ではテストステロン、DHT、合成AASへの反応は、局所代謝、受容体、共調節因子によって異なります。[1][2]

出典

  1. StatPearls: Biochemistry, Dihydrotestosterone (NCBI Bookshelf / Overview)
  2. Endotext: Androgen Physiology: Receptor and Metabolic Disorders (Endotext / NCBI Bookshelf / Overview)
  3. Kicman AT. Pharmacology of anabolic steroids (British Journal of Pharmacology / 2008 / Overview)
  4. Endotext: Androgen Physiology, Pharmacology, Use and Misuse (Endotext / NCBI Bookshelf / Overview)
  5. Penning TM. AKR1C3 (type 5 17β-hydroxysteroid dehydrogenase/prostaglandin F synthase): roles in malignancy and endocrine disorders. Molecular and Cellular Endocrinology. 2019;489:82-91. (DOI / Overview)
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