AASの構造修飾

合成AASは、テストステロン、DHT、19-ノルテストステロンなどのステロイド骨格を修飾した化合物群です。構造修飾により、経口活性、作用時間、芳香化、5α還元、血中分画、組織内代謝、肝胆道系負荷が変わります。[1][2]

17αアルキル化

17αアルキル化は、ステロイド核の17α位にメチル基またはエチル基を導入する修飾です。肝臓での分解を受けにくくし、経口活性を高めます。[1][2]

代表例には、メチルテストステロン、メタンジエノン、オキシメトロン、オキサンドロロン、スタノゾロール、フルオキシメステロン、メトリボロンなどがあります。[1][2]

17αアルキル化AASは、胆汁うっ滞、肝酵素上昇、肝紫斑病、肝腫瘍などの肝胆道系有害作用と関連します。[2][3]

17βエステル化

17βエステル化は、ステロイド核17β位の水酸基に脂肪酸鎖を結合させる修飾です。注射剤では、油性溶媒または懸濁液中での溶解性、筋肉内投与後の放出速度、作用時間に関わります。[1][1]

代表例には、テストステロンプロピオン酸エステル、テストステロンエナント酸エステル、テストステロンシピオン酸エステル、テストステロンウンデカン酸エステル、ナンドロロンデカン酸エステルなどがあります。[1][1]

エステル化は親ステロイドの基本的な受容体作用を別物にする修飾ではなく、主に投与後の吸収・放出・加水分解に関係します。[1]

19-ノル化

19-ノル化は、テストステロン骨格の19位メチル基を欠く構造です。19-ノルテストステロンはナンドロロンです。[1][2]

19-ノル系には、ナンドロロン、トレンボロン、ノルエタンドロロン、ミボレロン、メトリボロンなどが含まれます。[2]

ナンドロロンは5αリダクターゼによりDHNへ変換されます。これはテストステロンがDHTへ変換される場合と異なります。[2]

DHT由来骨格

DHT由来AASは、DHT骨格を基礎とする化合物群です。DHTはアロマターゼによりエストラジオールへ変換されません。[1][2]

代表例には、メステロロン、ドロスタノロン、メテノロン、オキサンドロロン、スタノゾロール、オキシメトロンなどがあります。[2]

DHT由来であることは、非芳香化を意味しますが、肝胆道系、脂質、皮膚・毛包、HPTA抑制などの有害作用がないことを意味しません。[2][3]

A環修飾・二重結合

AASでは、A環の二重結合や置換基により代謝と受容体作用が変わります。

例として、ボルデノンはテストステロンに1,2二重結合を持つ誘導体であり、メタンジエノンはボルデノンに17αメチル化を加えた構造として整理されます。[2]

スタノゾロールはDHT骨格にピラゾール環を持つ化合物です。[2]

ハロゲン化・水酸化

フルオキシメステロンは、9αフルオロ基、11βヒドロキシ基、17αメチル基を持つテストステロン誘導体です。[2]

クロステボルは、4-クロロ置換を持つテストステロン誘導体です。4-クロロ置換は芳香化に影響します。[2]

組織内代謝

AASの作用は構造式だけで決まりません。5αリダクターゼ、アロマターゼ、3α-HSD、17β-HSDなどの組織内酵素により、局所での活性化、不活化、代謝物の性質が変わります。[1][2]

出典

  1. Endotext: Androgen Physiology, Pharmacology, Use and Misuse (Endotext / NCBI Bookshelf / Overview)
  2. Kicman AT. Pharmacology of anabolic steroids (British Journal of Pharmacology / 2008 / Overview)
  3. LiverTox: Androgenic Steroids (NCBI Bookshelf / Overview)
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