基本情報
構造
- 分子式
- C28H27NO4S
- 分子量
- 473.58 g/mol
- 分類
- 選択的エストロゲン受容体モジュレーター(SERM)
性質
- 投与経路
- 経口
- 作用機序
- エストロゲン受容体への結合(組織選択的)
- 半減期
- 約27.7時間 [1]
- 代表的商品名
- エビスタ(EVISTA)
歴史
誕生
ラロキシフェン(Raloxifene)は、閉経後女性の骨粗鬆症治療・予防を主な用途として使われる選択的エストロゲン受容体モジュレーター(SERM)です。添付文書上は、閉経後骨粗鬆症女性における浸潤性乳がんリスク低減などにも位置づけられています。[1]
医療
医療では、骨ではエストロゲン様に働き、乳腺や子宮などでは組織ごとに異なる受容体作用を示す薬剤として扱われます。標準的な添付文書用量は 60mg を1日1回経口投与です。[1]
ボディビル
ボディビル文脈では、PCTの中核薬というより、女性化乳房のしこり縮小候補として語られることがあります。持続する思春期女性化乳房を対象にした小規模な後ろ向き研究では、ラロキシフェン 60mg/日またはタモキシフェン 10〜20mg 1日2回が3〜9か月使われ、ラロキシフェン群でより良い縮小反応が報告されています。ただし、この研究は思春期女性化乳房のデータであり、AAS誘発性女性化乳房へそのまま外挿できる根拠ではありません。[2]
特徴とリスク
特徴
ラロキシフェンの特徴は、SERMとしてエストロゲン受容体に組織選択的に作用する点にあります。
- 骨でのエストロゲン様作用: 閉経後女性の骨粗鬆症治療・予防に使われ、骨量維持に関わる薬剤として位置づけられます。[1]
- 乳腺側での抗エストロゲン作用: 添付文書上は、閉経後骨粗鬆症女性などで浸潤性乳がんリスク低減の適応を持ちます。女性化乳房の文脈では、思春期女性化乳房の後ろ向き研究に限って縮小反応の報告があります。[1][2]
- PCTでの位置づけは限定的: クロミフェンのようにHPTA再起動を主目的に使う薬剤ではありません。AASサイクル後の自己分泌回復では、ラロキシフェン単独をPCTの中心に置く根拠は乏しいです。
リスク
静脈血栓塞栓症
ラロキシフェンは、深部静脈血栓症、肺塞栓症、網膜静脈血栓症などの静脈血栓塞栓症リスクが添付文書で警告されており、活動性または既往の静脈血栓塞栓症がある場合は禁忌です。[1]
脳卒中リスクへの注意
冠動脈疾患または主要冠動脈イベントのリスクが高い閉経後女性では、脳卒中による死亡リスク増加が添付文書の警告に含まれています。[1]
AAS誘発性女性化乳房への外挿
ラロキシフェンの女性化乳房データは、主に思春期女性化乳房の小規模研究に限られます。AAS誘発性女性化乳房では、原因薬剤、E2、プロラクチン、乳腺の線維化の有無が異なるため、同じ反応を前提にしない方が安全です。[2]
競技規制上の扱い
WADA禁止表では、ラロキシフェンは「S4. ホルモン調節薬および代謝調節薬」に該当し、競技会時・競技会外ともに禁止されています。[3]
出典
- DailyMed: EVISTA (raloxifene hydrochloride) tablet (DailyMed / NLM / 2025 / Overview) ↩
- Lawrence SE, et al. Beneficial effects of raloxifene and tamoxifen in the treatment of pubertal gynecomastia. The Journal of Pediatrics. 2004;145(1):71-76. (PubMed / NLM / 2004 / Overview) ↩
- World Anti-Doping Agency: 2026 Prohibited List (World Anti-Doping Agency / Overview) ↩