アンドロゲン受容体は、テストステロンやDHTなどのアンドロゲンに応答する核内受容体です。略称はARです。
ARは骨格筋、骨、皮膚、毛包、前立腺、外性器、血液、中枢神経系など、多くの組織のアンドロゲン作用に関わります。
リガンド
主な内因性リガンドはテストステロンとDHTです。
| リガンド | 特徴 |
|---|---|
| テストステロン | 主要な循環アンドロゲン。ARに作用し、DHTやエストラジオールの基質にもなる。 |
| DHT | テストステロンの5α還元で生じる。ARへの結合親和性が高い。 |
合成アンドロゲンもARに作用しますが、化合物ごとに代謝、受容体作用、組織反応が異なります。
核内受容体としての作用
ARはリガンド結合後、核内でDNA上の応答配列や共調節因子と相互作用し、遺伝子発現を変化させます。
大まかな流れは以下です。
- アンドロゲンがARに結合する。
- ARの構造が変化し、二量体形成や核内移行が起こる。
- ARが標的遺伝子周辺の応答配列や転写調節領域に関与する。
- 共調節因子とともに遺伝子発現を変化させる。
AR作用は、単に「結合したかどうか」だけで決まりません。受容体量、共調節因子、局所代謝、組織状態が関係します。
組織差
同じAR経路でも、骨格筋では筋タンパク質代謝や筋サイズ、皮膚では皮脂腺や毛包、骨では骨形成・骨吸収の調節、血液では赤血球産生との関係が関連します。
この組織差により、同じアンドロゲン作用でも、筋肥大、皮脂、脱毛、赤血球増加、性機能など異なる表現型が生じます。
アナボリック作用とアンドロゲン作用
アナボリック作用とアンドロゲン作用は、完全に独立した経路ではありません。多くはARを介する反応であり、標的組織が違うため表現型が異なります。
合成アンドロゲンでは、筋組織での作用と皮膚・前立腺などでの作用を分けて語ることがありますが、両者を完全に切り離すことはできません。
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