SARMsは、Selective Androgen Receptor Modulatorsの略です。
日本語では、選択的アンドロゲン受容体モジュレーター、または選択的アンドロゲン受容体調節薬と表記されます。
SARMsの中心はアンドロゲン受容体(AR)です。
テストステロンやDHTと同じくARに結合しますが、テストステロン、DHT、ナンドロロンのようなステロイド性アンドロゲンではありません。
医薬品開発では、筋肉や骨へのアナボリック作用を残しながら、前立腺などへのアンドロジェニック作用を抑える方向で研究されてきました。[1]
「選択的」は、筋肉だけに作用するという意味ではありません。
ARは筋肉、骨、皮膚、毛包、前立腺、視床下部、下垂体などに関係します。
そのため、SARMsでもHPTA軸、脂質、肝機能、心血管、成分固有の症状は確認対象になります。
分類
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 作用点 | アンドロゲン受容体(AR) |
| 構造 | 非ステロイド性の小分子が中心 |
| 医薬品開発上の目的 | 筋肉・骨への作用と、前立腺などへの作用を分ける設計 |
| 競技規制 | WADA禁止表ではS1.2のアナボリック薬に含まれる |
WADA禁止表では、SARMsはAASとは別にS1.2の「Other Anabolic Agents」に分類され、例としてandarine、enobosarm、LGD-4033、RAD140、S-23、YK-11が挙げられています。[2]
成分
| 成分 | 別名 | 分類 |
|---|---|---|
| オスタリン(MK-2866) | Enobosarm / GTx-024 | 非ステロイド性SARM |
| リガンドロール(LGD-4033) | LGD-4033 | 非ステロイド性SARM |
| アンダリン(S4) | S4 | 非ステロイド性SARM |
| テストロン(RAD-140) | RAD-140 | 非ステロイド性SARM |
| S-23 | S-23 | 非ステロイド性SARM |
| YK-11 | YK-11 | SARM様化合物 |
YK-11は、WADA禁止表ではSARMsの例に含まれます。[2]
一方で、構造やミオスタチン関連の話が絡むため、典型的な非ステロイド性SARMsとは別枠です。
SARMsではない成分
Cardarine、Ibutamoren、SR9009は、販売名や検索ではSARMsと並びます。
ただし、作用点はARではありません。
| 成分 | 主な作用点 | 配置 |
|---|---|---|
| Cardarine / GW-501516 | PPARδ | 代謝調整系PED |
| Ibutamoren / MK-677 | グレリン受容体、GH/IGF-1系 | 成長ホルモン系PED |
| Stenabolic / SR9009 | Rev-Erb | 代謝調整系PED |
CardarineはPPARδ、MK-677はグレリン受容体、SR9009はRev-Erbです。
ARを作用点にしない成分は、SARMsではなくPED側です。
SARMs内で見る項目
| 領域 | 項目 |
|---|---|
| 名称 | 一般名、開発コード、別名 |
| 構造と性質 | 非ステロイド性、半減期、分子式、分子量 |
| 特徴 | ARへの作用、成分固有の作用、臨床研究の位置づけ |
| リスク | HPTA軸、脂質、肝機能、心血管、成分固有の症状 |
| 競技規制 | WADA分類、禁止区分 |
SARMsとAASの違いは SARMsはAASより安全なのか、SARMsと周辺PEDの違いは Cardarine、MK-677、SR9009はSARMsなのか で扱います。
セクション
| セクション | 内容 |
|---|---|
| 基礎 | 定義、医療開発、承認状況、リスク、製品表示 |
| 成分 | オスタリン、リガンドロール、アンダリン、RAD140、S-23、YK-11 |
出典
- Selective androgen receptor modulators: the future of androgen therapy? (PubMed Central / Overview) ↩
- World Anti-Doping Agency: 2026 Prohibited List (World Anti-Doping Agency / Overview) ↩