基本情報
構造
- 分子式
- C19H18F3N3O6
- 分子量
- 441.4 g/mol
- 主な構造修飾
- アリールプロピオンアミド骨格、ニトロ基、トリフルオロメチル基
性質
- 系統
- 非ステロイド性SARM(GTx-007、S-4)[1]
- 投与経路
- 経口
- 17αアルキル化
- なし(非ステロイド性)
- エストロゲン性
- 無
- アロマターゼ活性
- なし
- プロゲスチン性
- 無
歴史
誕生
アンダリン(Andarine)は、GTx-007、S-4とも呼ばれる非ステロイド性の選択的アンドロゲン受容体調節薬です。[1]
2003年には、合成されたキラルな非ステロイド性SARM群の中で、S-1とS-4がin vivoで組織選択的なアナボリック活性を示す化合物として報告されました。[2]
医療
2005年の去勢ラット研究では、S-4の骨格筋、骨、下垂体への作用が評価されました。[3]
SARMsは、がん悪液質、骨粗しょう症、加齢や低栄養に伴う骨・筋量低下を対象に開発・評価された化合物群ですが、FDA承認薬としての医療用途はありません。[4][5]
ボディビル
アンダリンは、AASよりも筋肉・骨への作用を選択的に狙うSARMとして、非医療の体格改善目的で名前が残りました。
FDAは、SARMsが筋肉量や運動能力の向上をうたってオンラインやSNSで宣伝される一方、未承認薬であり安全性・有効性の審査を受けていないと警告しています。[5]
特徴とリスク
特徴
S-4は、アンドロゲン受容体に結合する非ステロイド性SARMとして、前立腺や精嚢よりもアナボリック組織への作用が強く出るように評価された化合物です。
2003年のラット薬力学研究では、S-1とS-4のアナボリック活性はテストステロンプロピオン酸エステルと同等またはそれ以上で、アンドロゲン性活性はより低いと報告されています。[2]
去勢ラット研究では、S-4処置によりヒラメ筋の質量・筋力と肛門挙筋の質量が非去勢群に近い水準まで戻り、除脂肪量低下も回復しました。
一方で、前立腺と精嚢への薬理作用はDHTより小さく、骨格筋・骨での強いアナボリック作用と前立腺への小さい作用が同じ研究で示されています。[3]
リスク
LH、FSH、テストステロン
去勢ラット研究では、S-4が血漿LHとFSHを用量依存的に低下させました。[3]
ヒトでのテストステロン抑制の大きさや回復期間を確定できる公開データは限られます。
肝機能
SARMsの非医療使用では、アナボリックステロイド様の胆汁うっ滞性黄疸を含む肝障害報告が整理されています。[4]
FDAも、SARMs関連製品について肝障害や急性肝不全を含む重い健康被害を警告しています。[5]
心血管
FDAは、SARMsに心筋梗塞や脳卒中リスク上昇の可能性があると警告しています。[5]
アンダリン単独での心血管リスクを定量できる公開臨床データは限られます。
視覚症状
SARM関連有害事象の集計には、視覚障害や失明の報告が含まれます。[6]
アンダリンで語られる視覚症状は、管理された公開ヒト試験で頻度や条件が確定しているものではありません。
競技規制上の扱い
WADA禁止表では、アンダリンはS1.2のその他のアナボリック薬に含まれる選択的アンドロゲン受容体調節薬に該当します。
S1は、競技会時・競技会外ともに禁止されるカテゴリです。[7]
出典
- PubChem: Andarine (PubChem / NCBI / Overview) ↩
- Yin D, et al. Pharmacodynamics of selective androgen receptor modulators. Journal of Pharmacology and Experimental Therapeutics. 2003;304(3):1334-1340. (PubMed / NLM / Overview) ↩
- Gao W, et al. Selective androgen receptor modulator treatment improves muscle strength and body composition and prevents bone loss in orchidectomized rats. Endocrinology. 2005;146(11):4887-4897. (PubMed / NLM / Overview) ↩
- NCBI Bookshelf: Selective Androgen Receptor Modulators (NCBI Bookshelf / Overview) ↩
- FDA. FDA warns against use of SARMs among teens, young adults. (fda.gov / 2023 / Overview) ↩
- Leciejewska N, et al. Selective androgen receptor modulator use and related adverse events including drug-induced liver injury: Analysis of suspected cases. European Journal of Clinical Pharmacology. 2024;80:185-202. (link.springer.com / Overview) ↩
- World Anti-Doping Agency: 2026 Prohibited List (World Anti-Doping Agency / Overview) ↩