リガンドロール(LGD-4033)

基本情報

構造

リガンドロールの構造式
分子式
C14H12F6N2O
分子量
338.25 g/mol
主な構造修飾
ベンゾニトリル骨格、トリフルオロメチル基

性質

系統
SARM
投与経路
経口
17αアルキル化
なし
半減期
約24〜36時間 [1]
エストロゲン性
アロマターゼ活性
なし
プロゲスチン性

歴史

誕生

リガンドロール(Ligandrol)は、LGD-4033、VK-5211、VK5211の名でも記載される非ステロイド性SARMです。[2]
2013年の第I相試験では、Ligand Pharmaceuticals所属著者を含む研究班が、経口SARMとしての安全性、薬物動態、除脂肪量への作用を評価しました。[1]

医療

2013年のプラセボ対照試験では、健康男性76名に0.1mg、0.3mg、1.0mgのLGD-4033を21日間投与し、除脂肪量、筋力、階段昇降パワー、性ホルモン、脂質、安全性項目が評価されました。[1]
2015年には、Viking TherapeuticsがVK5211として、非選択的股関節骨折手術後の患者を対象にした第II相試験プログラムを開始しました。[3]
SARMは筋肉減少、骨粗しょう症、がん悪液質などを対象に開発・評価されてきましたが、米国FDAでヒト用に承認されたSARMはありません。[4]

ボディビル

短期ヒト試験で除脂肪量の増加が示されたため、リガンドロールは体格強化や競技パフォーマンス目的で乱用対象になりました。[1][5]
一方で、研究用化学品やサプリメントとして流通する製品では、表示成分や含有量の信頼性が問題になります。[4][5]

製品名

  • リガンドロール(Ligandrol)
  • LGD-4033
  • VK5211
  • アナボリカム(Anabolicum)

特徴とリスク

特徴

LGD-4033は、アンドロゲン受容体に高い親和性と選択性で結合する非ステロイド性の経口SARMとして報告されています。[1]
健康男性を対象にした21日間の試験では、除脂肪量が用量依存的に増加し、脂肪量は有意に変化しませんでした。[1]
この短期試験で示された主な所見は体組成の変化であり、筋力や身体機能の改善を確定するにはより長い試験が必要とされています。[1]

リスク

テストステロン、FSH、SHBG

総テストステロンとSHBGは用量依存的に低下し、1.0mg群では遊離テストステロンとFSHの有意な低下も報告されています。[1]
ホルモン値は投与終了後にベースラインへ戻りましたが、短期試験の回復所見は長期使用の安全性を保証するものではありません。[1]

HDL、脂質

HDLコレステロールとトリグリセリドは用量依存的に低下し、投与終了後にベースラインへ戻りました。[1]
脂質変化は、AASではないSARMでも心血管系の検査値に影響しうることを示します。

肝機能

21日間の臨床試験では、AST、ALTに有意な変化はありませんでした。[1]
一方で、ボディビル目的の未監督使用では、黄疸を伴う胆汁うっ滞性肝障害が複数報告され、発症までの期間は数週間から数か月に及ぶ例があります。[4]
報告例では高用量使用や複数SARMの併用が目立ちます。[4]

競技規制上の扱い

WADA禁止表では、リガンドロール(LGD-4033)はS1.2のその他のアナボリック薬、SARMsに該当します。
S1は、競技会時・競技会外ともに禁止されるカテゴリです。[6]

出典

  1. Basaria S, et al. The Safety, Pharmacokinetics, and Effects of LGD-4033, a Novel Nonsteroidal Oral, Selective Androgen Receptor Modulator, in Healthy Young Men. The Journals of Gerontology: Series A. 2013;68(1):87-95. (academic.oup.com / Overview)
  2. PubChem: Ligandrol (PubChem / NCBI / Overview)
  3. Viking Therapeutics: Viking Therapeutics Initiates Clinical Trial for VK5211, a Selective Androgen Receptor Modulator (SARM), for Acute Hip Fracture (ir.vikingtherapeutics.com / Overview)
  4. NCBI Bookshelf: Selective Androgen Receptor Modulators (NCBI Bookshelf / Overview)
  5. USADA: Top 5 Things to Know About LGD-4033 (usada.org / Overview)
  6. World Anti-Doping Agency. The Prohibited List. (World Anti-Doping Agency / Overview)
更新: / 作成: