YK-11

基本情報

構造

YK-11の構造式
分子式
C25H34O6
分子量
430.5 g/mol
主な構造修飾
19-norpregna骨格、17,20-[(1-methoxyethylidene)bis(oxy)]置換、メチルエステル

性質

系統
ステロイド性SARM様化合物(YK11、YK-11)[1][2]
投与経路
経口SARM製品として非医療流通することがある [2]
17αアルキル化
なし(17,20-[(1-methoxyethylidene)bis(oxy)]置換)
エストロゲン性
アロマターゼ活性
なし
プロゲスチン性
研究段階
細胞研究が中心 [2][3][4]
承認状況
ヒト用承認薬ではない [2]

歴史

誕生

YK-11(YK11)は、2011年にアンドロゲン受容体の部分作動薬として報告されたステロイド化合物です。[2]
同報告では、YK-11がアンドロゲン受容体を核へ移行させる一方、DHTで見られるアンドロゲン受容体のN/C相互作用を誘導しないことが示されました。[2]

医療

YK-11に確立した医療用途はありません。
2013年のC2C12筋芽細胞研究では、筋分化関連因子とフォリスタチン発現への作用が評価されました。[3]
2018年のMC3T3-E1骨芽細胞研究では、細胞増殖、石灰化、骨芽細胞分化マーカー、Aktシグナルへの作用が評価されました。[4]
SARM全体としても、米国FDAでヒト用に承認された薬剤はありません。[2]

ボディビル

YK-11は、ステロイド骨格を持つSARM様化合物であり、フォリスタチン発現を介した筋分化の細胞研究があることから、体格強化目的で名前が広がりました。[2][3]
このフォリスタチン誘導は、ミオスタチン系に関わる同化作用として語られることがありますが、公開された根拠は主にC2C12筋芽細胞でのin vitro所見です。[3]
FDAが検査したGE Labs Ykarineでは、表示成分としてYK-11が確認され、未表示のtrendioneも検出されました。[5]
同製品の検査は、使用後に脳卒中を起こした消費者の有害事象報告をきっかけに行われています。[5]

特徴とリスク

特徴

YK-11はアンドロゲン受容体に作用するステロイド性SARM様化合物です。
2011年の細胞研究では、アンドロゲン応答配列ルシフェラーゼアッセイで部分作動薬として働き、アンドロゲン受容体を核へ移行させ、遺伝子ごとに異なる選択的な発現応答を示しました。[2]

C2C12筋芽細胞では、YK-11がDHTより強くMyoD、Myf5、myogeninの発現を誘導し、DHTでは見られなかったフォリスタチン発現を誘導しました。[3]
抗フォリスタチン抗体でYK-11による筋分化が反転したため、フォリスタチン誘導が同研究での同化作用に重要とされています。[3]

MC3T3-E1骨芽細胞では、YK-11とDHTが細胞増殖と石灰化を促進し、骨保護素とオステオカルシンなどの分化マーカーを増やしました。[4]
これらの所見はアンドロゲン受容体拮抗薬で弱まり、Aktリン酸化の増加も報告されています。[4]

リスク

肝機能

YK-11単独の管理されたヒト臨床安全性データは限られます。
SARM全体では、ボディビル目的の自己使用後に、アナボリックステロイド様の胆汁うっ滞性黄疸を含む肝障害が報告されています。[2]
FDAも、SARM含有製品について肝障害や急性肝不全を含む重い健康被害を警告しています。[5]

心血管

FDAは、SARM含有製品に心筋梗塞や脳卒中リスク上昇の可能性があると警告しています。[5]
GE Labs Ykarineの検査ではYK-11と未表示trendioneが確認されており、有害事象報告には脳卒中が含まれていました。[5]
この事例は複数成分を含む製品の報告であり、YK-11単独の心血管リスク量を定量する根拠にはなりません。

その他

未承認SARM製品に関連する有害事象として、睡眠障害、性機能障害、不妊、精巣萎縮などが安全情報で挙げられています。[5]
YK-11はヒト用承認薬ではなく、臨床用量、薬物動態、有害事象頻度を確定できる公開データは限られます。[2]

競技規制上の扱い

WADA禁止表では、YK-11はS1.2のその他のアナボリック薬、SARMsに記載されています。
S1は、競技会時・競技会外ともに禁止されるカテゴリです。[6]

出典

  1. PubChem: YK-11 (PubChem / NCBI / Overview)
  2. NCBI Bookshelf: Selective Androgen Receptor Modulators (NCBI Bookshelf / Overview)
  3. Kanno Y, et al. Selective Androgen Receptor Modulator, YK11, Regulates Myogenic Differentiation of C2C12 Myoblasts by Follistatin Expression. Biological and Pharmaceutical Bulletin. 2013;36(9):1460-1465. (jstage.jst.go.jp / Overview)
  4. Yatsu T, et al. Selective Androgen Receptor Modulator, YK11, Up-Regulates Osteoblastic Proliferation and Differentiation in MC3T3-E1 Cells. Biological and Pharmaceutical Bulletin. 2018;41(3):394-398. (jstage.jst.go.jp / Overview)
  5. FDA: Certain bodybuilding products put consumers at risk for heart attack, stroke, serious liver damage and more (fda.gov / 2025 / Overview)
  6. World Anti-Doping Agency: 2026 Prohibited List (World Anti-Doping Agency / Overview)
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